つまらない映画を観てしまった。
この映画を観て一番驚いたのは、どういう訳かこの映画の巷の評価がそこそこ高いこと。
僕にとっては、ただただ悲痛な場面を並べて音楽を流せば映画ができると勘違いしている人がつくった安っぽい映画なんだけどね。
この映画の安っぽさの元凶は終始、どいつもこいつも口に出さなくてもいいことをわざわざ全部、台詞にしてしまうこと。大統領をいかに憎んでいるかなんていうのは言葉にしなくても拷問の傷痕だけ見せれば十分に分かるのにわざわざ台詞にしてしまう。あの子どもが昔の生活に戻りたいことなんて、わざわざ言わせなくてもいいのに。だいたい「マリアマリア」うるさいんだよね。あの子が喋る度に終始イライラしてた。
拷問を経て帰宅した旦那が自殺した後のお葬式の場面なんて、あんなに激しくむせび泣くせいで、逆にこっちが冷静になってしまう。
意味不明なシーンも多くて、疲れた。なんで隠れて納屋にいるのにのんきに声をだしてギターまで弾いて大声で泣いて見つからないのかも不思議だし、国民にそこまで憎まれる大統領ならバイクを盗んだ時にバイクの持ち主は口封じに殺すくらいは残酷だと思うし、レイプされたあとの女性ってあんなに元気か?元帥の裏切りも意味不明。大統領殺す気ならもうちょっと上手くやるべきだよなぁ。
「考えさせられる」とか「胸に訴えるものがある」とかっていう評価は僕にはまったく分からない。ラストもものすごくダサい。あんな状況で処刑を止める人間が居たらその人も一緒に殺されちゃうんじゃないの?血祭りにするシーンも、銃殺→絞首刑→火あぶりって行き当たりばったりだし、あんな焚火じゃとうてい人は焼けないよ。最後の「民主主義のために躍らせろ」的な台詞も意味不明だしね。
まぁ、「寓話仕立て」で納得するしかないかもしれない。リアル無視のそーゆー映画なんだって思えれば楽しめたのかもしれない。真面目に見ようとしたがゆえに楽しめなかったのかもしれない。
カダフィー大佐の最期とか、ルーマニアの革命を思い出したりはしたけど、ぜんぜんおもしろくもない映画だった。
ただ、いくつかいいなって思えるカットはあった。孫が停電させて喜んでいる場面とか、カカシの場面とか、ポスターになっている場面とか、大統領が銃を川に捨てる場面とかね。それこそ5年ぶりに妻と再会した男が絶望している顔を長回ししているところはなかなか迫るものがあった(直後のお葬式の場面で台無し)。
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