力学・解析力学の参考書のレビューです。熟読した本のみを紹介しています。
物理学序論としての力学(藤原邦男)
素晴らしい本です。大学初年度に、これからはじまる物理の勉強にわくわくしながら初めに読む力学の参考書として最も適切な本だと思います。もの凄く丁寧に読んだ思い出のある本です。一貫して、理論だけではなく実験や歴史を追いながら物理ができる本です。物理現象を語るにあたって近似が如何に有効か教えてくれる本でもあります。また最終章は解析力学への入門に最適だと思います。
本当に大学生になりたての人が読んでも理解できるように、テイラー展開や微分方程式の解き方、ベクトルの外積の定義などについても分かりやすい説明がある(できれば、他の本でそれくらいの数学を身に付けてから読んだ方が楽しいとは思う)。章末の問題はどれも真剣に考える価値のあるものばかりです。とくに最終章の演習問題は考えさせられます。
藤原 邦男
東京大学出版会
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力学(原島 鮮)
誤魔化しのない本です。この本もまた、大学1回生が読んでも理解できるように座標変換など基本的な数学についても丁寧に書いてあります。私はこの本で惑星の軌道が楕円になることをエネルギー保存則から導いた時はもの凄く興奮しました。他の本では適当に書かれていることも、誤魔化さずに書いてあるので凄く感銘を受ける本だと思います。
力学(ランダウ=リフシッツ理論物理学教程)
ランダウの理論物理学教程の第1巻です。ランダウの本の日本語訳は絶版になっていることが多いのですが、この本は書店で普通に売ってます。シラバスを見ると教科書として指定されていることも多い本ですが、ラグランジアンや作用と言う言葉を学んでいない段階でいきなりこの本を手にとるのはオススメできません。ものすごく難しい本だと思います。ただし、ある程度、力学や解析力学を身に付けてから読むには素晴らしい本だと思います。式変形や計算の過程がめちゃくちゃカットされているので、自分で手を動かしてその行間を埋めていってください。ちなみに、最小作用の原理からスタートして、対称性からの保存則の導出が教科書に採用されたのはこの本がはじめてです(数理科学2011/8 p71)。
四苦八苦することになりますが、身に付けられる能力は本当に高いと思います。焦らずに、まずは初学者向けの本を読みましょう。
エリ・ランダウ イェ・エム・リフシッツ
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解析力学・量子論(須藤 靖)
"標準的な教科書"からは随分遠い場所にある本です。なので解析力学や量子論を初めて学ぶ人が手に取るのには少し不向きかもしれません。
ただ、この本はとても熱い!1章と13章を読めばこの本の熱さはよくわかると思います。量子論のパートはちゃんと読んでいないのですが、前半の解析力学は何度も読み直しました。とくに対称性と保存則の部分(ネーターの定理)は物理学を学ぶものなら誰しも感動すると思います。他にも、解析力学からニュートン力学へ、ニュートン力学から解析力学へという2通りのアプローチが頁を惜しまずに説明されているのでより解析力学が「しっくりくる」と思います。
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